小屋の手前に立派な建物がある。
これがハイテクエコトイレか・・・。
屋根の上にソーラーシステムが載っている。排泄物もバイオシステムで分解するのかな?(平日は閉鎖されていて使えない)
前のベンチに荷物を置こうとして、そこに黒いウエストポーチがぽつんと置かれているのに気がついた。
トイレに入っている人のかな?
・・・気配はない。
・・・もしかして、忘れ物?
トイレに声を掛けてみる。誰も入っていない。
う〜ん・・・。
とりあえず、ファスナーをそっと開けてみる。
携帯、財布、カードケース、鍵束などが整然と収まっている。財布にはクレジットカードや免許証なんかも入っているのか、それらしきものがちらっと見える。
ありゃ〜、こんな大事なもの・・・。
忘れたことに気がついたら青ざめるに違いない・・。
その辺から慌てて駆けてくる人の姿が現われないものかときょろきょろするが、誰もいない。
山頂に行っているにせよ、下山しているにせよ小屋に預けるのが一番だろう。
小屋のご主人に声を掛け、お渡しした。
小屋からは見事なブナ林の中を行く。
向こうの瑞々しい緑の中に、ピンクの花が見えてきた。シャクナゲ。
見上げると道の上にも、シャクナゲの群落。斜面一面覆いつくすように広がっていた。
しっとりと湿り気を帯びた空気の中で、花も木も活き活きしている。
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