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真下に岳沢を見下ろしながら、 正面に西穂の稜線を眺めながら、 その向こうには緩やかに蛇行する梓川の流れと焼岳。 正面:焼岳 下からの登山者にも4人ほど出会う。 一人の男性は昨日槍ヶ岳をピストンし、今日は奥穂だとか・・。 カモシカの立場 パノラマ台、カモシカの立場と、 いくつかの、蛇が鎌首をもたげたような出っ張りを乗り越えてまた激下り。 いつの間にかダケカンバの黄色い林の中に入っていた。 振り返れば明神岳の岩峰があんなに高くなった ・・・が、まだまだ続く下り。 岳沢ヒュッテがすぐ下に見えてからもまだまだ長い。 尚も、梯子あり、鎖ありの激下りが続く。
もう飽きるくらい下って、その上まだまだ下りが続いて、 もう嫌になった頃、岳沢の白い河原に飛び出した。 ヒュッテはすぐ先だ。 新築され木の香も芳しい岳沢小屋 完全予約制だとか 小屋の前でゆっくりと遅めの昼食をとり、 パンパンに張った太腿を休ませる。 『バスに間に合うかもしれませんし、先に行ってください』 足の爪を痛めてしまったSさんに見送られ 1:15 岳沢小屋を後にする。 上高地はすぐそこに見えているというのにコースタイムで2時間。 2:40発のバスに乗るには・・ 10分前に着くとして・・・後1時間15分・・か。 山行前の予定では松本から高速バスを利用するつもりだった。 少しでも交通費を安上がりにするには、JRよりバスの方が安いのだ それには、どうしても2:40発に乗らないといけない。 昨夜、岳沢を下ると決めた時点で、それは諦めていたけれど、 もしかしたら間に合うかもしれない・・ 『走れば間に合いますよ!』 Sさんはそういってくれたけれど・・・走るなんて、そんなの無理!! ・・かな・・? いや、行けるかも・・・ 行けそうな・・・気が・・・ 最初調子よく飛ばしていたけれど、だらだら続く単調な下り。 次第に歩みが遅くなり、 ごく普通のスピードで歩くのさえ辛くなってしまった。 ついに途中で諦める。 河童橋2:50着。 観光客でごった返している。 あの裏側から山を乗り越して、下ってきたと思うと、感慨深い。
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