ルネのきままなアトリエ
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天空を突き刺す姿に、人は何を見る・・・
武兵峠から御在所岳への登山路から眺める鎌ガ岳
鎌ガ岳:滋賀県甲賀市:1161m
御在所岳:三重県菰野町:1210m
 2006年5月3日(水) 
晴れ
 息子と


コース 広域地図  詳細地図
 8:12 武平トンネル西口(駐車)
 8:22 武平峠
 9:20〜9:55 鎌ガ岳山頂
10:50 武平峠
12:00〜13:05 御在所岳山頂(昼食)
14:00 武平トンネル西口

前々日に御池岳をご一緒したFloraさんから、鎌ガ岳のアカヤシオがそろそろ見頃らしいと聞いた。

鎌ガ岳、実はまだ登っていなかった。
どうせなら、アカヤシオ咲く時期に登ろうと機会を窺っていた。
青空にすくっと聳える鋭鋒。山道を彩るアカヤシオのピンク。・・・いい山でした!



前日、大学生の長男に、明日予定がなかったら一緒に山に行かへん?と声を掛けた。どうせ、乗ってこないに決まっている・・・と思いつつ。
ところが、意外なことに「行ってもええで〜」との返事。

長男が最後に山に行ったのは確か、小学5年ぐらい。中学高校とクラブ活動に忙しく、家族と行動を共にすることなど皆無だった。
大学に入ってからは、もっぱら友達との予定が優先。
おまけにこの息子、小さい頃のアルプスの稜線歩きが余程怖かったのか、少々高所恐怖症気味なのだ。

GW真っ只中の人気の山に独りで出かけるのも何だか寂しい。
ダメモトでと思い声を掛けたのだけれど・・・。

前夜、日付が変わろうかという時刻になって友人から誘いの電話があり出かけていった息子。
やっぱり明日は独りの山か・・・と諦めていたのだけれど、朝4時半に起きると、何と、居間に毛布にくるまって息子が寝ていた。
「2階に寝に行くと朝起きられへんと思て・・・」真っ赤に充血した目で、そうのたまう。

あんな〜、そんな寝不足で山歩きなんかできるわけないやろ!!
とは言ったのだけれど・・・。



何といっても鈴鹿はやっぱり遠い。
息子に「車の中でゆっくり寝て行き〜」と、針インターから名阪国道へ。
ところが、私の運転テクニックが冴え渡っていたせいか、20分も走らないうちにパッチリと目を覚ました息子。

「寝ている間に、気がつくときれいな花が咲き乱れるトコロやった・・なんて、たまらんもん・・・」と。
何言うてんの。あんたが行くのは、血の池とか、針の山とか、糞尿地獄とか・・・やろ。・・・などと、縁起でもないことを平気で口走る母さんなのでした。

針の山に辿り着くこともなく、針のようにとんがった鎌ガ岳を見ながら、無事、武平峠に到着。




トンネル西口の駐車場は、かなり車で埋まっていた。雨乞岳方面への車と半々ぐらいか?
丁度2年前のこの時期、wolfgangさんとFloraさんとここから雨乞岳に登ったことを懐かしく思い出す。

空は晴れ渡り、空気が澄み切っている。朝の冷気が心地よい。
今日は鎌ガ岳への最短コース。御在所岳へと連なる稜線を登る。
武平峠の標高が875メートル。高度差300メートル弱ぐらいか・・・。

10分で峠着。登山届に記入、提出。

今日は別のポルシェ 笑っているのは今のうち・・・ 誰に似たのか・・・(;´_`)
西口空きスペースに駐車 8:20出発 笑っているのは今のうち・・  8:22 武平峠 うやうやしく提出
花崗岩の溝状の道を登る。
行く手に鎌ガ岳が麗々しく聳えている。どこから見ても天に向かって突き上げるような鋭鋒。

高い・・・
大将!へっぴり腰ですよ〜! すっく、と聳えている 振り返ればアカヤシオ越しに御在所岳

所々両側の切れ落ちた痩せ尾根もあり、退屈しない。面白いほどぐんぐん登っていく。眺めは素晴らしい。

高い所が少々苦手の息子だけど、さすがに老いた母の前ではびびった姿なんか見せられないよね〜( ̄〜 ̄;)
ホントは安全なヒトです
アブナイ・・人

絶景・・・
目の前に聳えるピークが少しずつ近づいてくる。
それにしても絶景・・・。

南側の斜面の所々に、アカヤシオのピンクが・・・
四日市方面 ピンクが少ない・・・かな・・・?
山の斜面を彩るアカヤシオ

登山道沿いに、タムシバの白い花もたまにあるけれど、花付きはあまりよくないみたい。
アカヤシオの花も思ったより付きが良くないように思える。まだ早いの?

天然のアスレチックだね〜
こんなところも越えていきます。

まだ遠い・・
青空にピンクがきれいだね〜

後一頑張り
カメラマンの母は、後になり先になり忙しい・・・

息子よ、人生の山はもっと険しいよ〜( ̄〜 ̄*)
もう一息
山頂直下の最後の岩場
普段、できるだけロープや鎖は頼らないように気をつけているけれど、さすがにここでは頼りになります。

最後の岩場を登り辿りついた山頂は、素晴らしい眺めだった。
南に茂みがあるがそれ以外は遮るものもない340度ぐらいの眺め。

雨乞が・・・
鎌ガ岳山頂  向こうは雨乞岳

北には、正面に御在所岳が対峙し、その横に雨乞岳に連なる山塊。
雨乞岳。一度しか登ったことはないけれど、魅力のある山だ。

世界の頂点に立った気分・・・
北の展望   雨乞岳から御在所岳方面   (雨乞岳の左にちらっと見えるのは綿向山か)

また行くよ〜
雨乞岳・・・大きな山だ・・・

南もみんな見〜・・・とほほ・・・悲しい・・・
東の展望    左:御在所岳  四日市方面

南側の茂みの向こうに行くと、南に展望が開け、ご夫婦が一組のんびり食事をされていた。
ごつごつとした鎌尾根越しに鈴鹿南部の山々が連なっていた。ここから見えるどの山もまだ登ったことがない。

鈴鹿・・・。
鈴鹿に通う日が来るなんて・・・。昔の仲間が聞いたら、腰を抜かすほど驚くだろうな。
二度と訪れることはない・・・と思っていたのに・・・。

おばちゃんの苦労しました、なんて昔話、誰も聞きたくないよね〜とは思いつつ・・・。

大昔の学生時代、夏の予備合宿で御在所岳から藤原岳まで縦走した。

2泊3日。
梅雨末期の大雨の中、ずっしり石の入ったキスリングを担いで、意識朦朧となりながら全身ずぶ濡れで歩き続けた。

腰の辺りまで掘れ込んだ道に、雨水が川のようになって流れていた。
泥まみれ、汗まみれ、血まみれ・・・。

木の枝からはぼたぼたとヒルが落ちてくる。
靴擦れ、ザック擦れ、股擦れ(決して太っていたわけではない)・・・。

擦れ・・・なんて言っても、マメが潰れて・・・なんて程度のものじゃない・・・かかとズル剥け、背中全体ズル剥け、太腿全体ズル剥け状態・・・。

よく誰も死ななかったものだ・・・と、大袈裟でなく思う・・・。
以来数十年、仲間内では「鈴鹿」という単語の前には必ず「魔の」という修飾語が付いた。
魔の鈴鹿・・・。

もちろん、誰も二度と行こうとは言い出さなかった。
30年近くの間、東名阪から左手に鈴鹿が見えてくると、吐き気がした・・・。ほんと・・・。
苦労して登った山ほど懐かしく思い出すものだけれど、鈴鹿だけは・・・。



鈴鹿が、こんなに魅力のある山だったなんて・・・。

で、自分の子供がその時と同じぐらいの年齢になって、こうやって一緒に山を登っているんだから、歳をとるはずだわさ・・・(^〜^;)

南もみんな見〜・・・とほほ・・・悲しい・・・
南の展望   鎌尾根と鈴鹿南部の山々 (左:入道ガ岳 中央:野登山と仙ガ岳)

ひとしきり眺めを楽しみ、山頂を辞す。
武平峠から御在所岳をピストンする時間も十分ある。

岩がごろごろの道を振り返る 芽吹き前の潅木の斜面に、アカヤシオと針葉樹の濃い緑がアクセントを添えている

ふうふう息を切らせながら登った道も、下りは早い。
山頂で息子に、今日の最年少登山者はあんた違うか〜と話していたけれど、下から子供連れのお父さんお母さんがどんどん登ってくる。
それも、小学校低学年、もしくは幼稚園ぐらいの子供も。

う〜ん、山頂直下のザレなんか、結構危険だと思うのだけど・・・。
子供の方が案外平気なのかな?

ふ〜、やっぱり惹かれる山ですね〜( ̄〜 ̄*)

今度は御在所と雨乞を見ながら下りていく 武平峠越しに御在所の登山路のザレ

武平峠に下り立ったのが11時前。
よし、今度は御在所岳。

さっき見えていたザレを登り、その後は掘れ込んだ岩ゴロゴロの樹林帯を行く。

エンジンがかかってきたみたいですね〜 こちらの登山道沿いにもところどころアカヤシオ

振り返れば、木の間隠れ、アカヤシオの花の向こうに鎌ガ岳の三角錐。
胸突き八丁の登り。
けれど、風も爽やか湿度も低く、あまり疲れを感じない。


鎌ガ岳の威容  右下に武平トンネル西口の駐車場が見える


三点確保で登る岩場もあり、なかなか面白い。
雨風で浸食されたのか、所々に奇岩が。

全身運動です・・・ 天を指差す・・・

山頂周遊道路に出る ハルリンドウが満開です 向こうが山頂


長者池にも寄っていこか〜
この辺になると、観光客うじゃうじゃ〜
山頂まであと一息・・
ますます賑やかになってきた〜

ガンダム母さんと孝行息子

三角点のあるピークから西に数十メートル、眺めの良さそうなピークがある。
ここも人でいっぱいだったけれど、正面に雨乞岳がどっしりと横たわっていた。
手前が七人山?

西の展望  この辺り一帯、風花さんのお庭?

山頂から少し下った東屋で昼食。
東屋では単独行の方三人とご一緒する。
一人の男性の話によると、昨年のアカヤシオは見事だったけれど、今年はさっぱりダメだそうだ。

後の二人はかなり高齢の女性。
一人は春日井市から電車で来られ、武平峠に下りるとおっしゃる。
峠から車で駅まで送りましょうか、と申し出たけれど、「歩くために山に来てるから、歩きます」と笑いながら辞退された。強いな〜

焼きソバの予定がソバを持ってくるのを忘れ、塩味の焼肉。
これがまた、予想外に美味しかった!
しっかり食べて、ひからびたオツムにも栄養をたっぷり補給してやってね!(ごめん・・・)

鎌ガ岳を見ながら、ぐんぐん下りていきます この高度感がたまりませんね〜

御在所を振り返る シロモジ? あと一山ぐらい登れるで〜


下りてから息子に、また一緒に登ろうな〜と言うと、
「後、十年は登らんでもいい」だと。

ま、今日のところはこれぐらいで勘弁したろか〜( ̄〜 ̄*)

いえいえ、ホントのところ、楽しかったよ〜。ありがとね! (-_^)



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