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三ノ沢岳〜宝剣岳〜木曽駒ケ岳周回
2007年9月16日(月祝) 
晴れのち霧・雨
夫婦で

▲千畳敷から南アルプスを望む



10数年も前のこと、宝剣山荘付近から南西に標高はさほど高くはないもののどっしりとした三角錐の岩山が見えた。三ノ沢岳だった。

いつか登ってみたいと思いつつ、年月の経過とともに、忘れてしまっていた。最近になってあちこちの山レポでその名前を目にするようになり、再び心が動かされた。

甲斐駒仙丈に行きそびれ、前日恵那山に。翌日登るのはやはりここしかない。
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朝、千畳敷へのロープウェイからは、胸のすくような南アルプスの眺め。

うわ〜!!今日は最高の天気!!
・・と喜んだのも束の間。
歩き始めて10分後にはガスが湧いてき、そして雨、ガス、雨、ガス、雨雨雨・・・。

さて、10数年ぶりの中ア、どうなることやら・・。

前夜、菅野台バスセンター駐車場で仮眠。(駐車料金 1回 400円・・ってことは何日置いておいても?)
ここからしらび平までバスに乗り換え。
そして、ロープウェイで一気に標高2600メートルの千畳敷まで登る。

夜中見上げると、満天の星。
が、4時半ごろ目を覚ますと、低い雲が垂れ込めていた。

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始発のバスは6時15分。

5時半前には、バス停に順番待ちの行列が出来はじめていた。
コース 広域地図     コース地図 
 7:10 千畳敷
 7:40 極楽平
 7:55〜 8:05 三ノ沢分岐(宝剣岳分岐)
 9:30〜 9:55 三ノ沢岳山頂
11:30〜11:40 宝剣岳分岐
12:10〜12:25 宝剣岳山頂
12:45〜12:50 宝剣山荘
12:58 中岳分岐(巻き道へ)
13:10 山頂小屋
13:25〜13:35 木曽駒ケ岳山頂
14:10〜14:40 宝剣山荘
15:05 千畳敷

5時半には行列
急いで身支度を整え、列に加わり、ベンチで朝ごはん。

隣の10人ほどの中高年パーティはちょっと大き目のザック。
早速事情聴取。
・・じゃなくって、情報収集(⌒〜⌒;)

千畳敷から空木岳へ縦走し、明日ここに下山するとのこと。
今日は木曽殿山荘に泊まるつもりだけれど、千畳敷から予約を入れると言っていた。
(木曽殿山荘は必ず予約が必要らしい。)

予定より早く5時前に1番バス到着。
最初のバスに乗り込む。乗り切れなかった人も、すぐ後から2台目がやってきていた。

バスは、深い中御所谷の左岸の道をぐねぐね登る。
昔より、ずいぶん道が良くなっているのに驚いた。

子どもが小さい頃は、子連れでもアルペン気分を味わえる山として、木曽駒周辺しか見ていなかったけれど、なかなか奥深い山域らしい。

しらび平手前から雲が晴れてきて、眩い陽が射し始める。
ロープウェイで高度が上がるにつれて・・・歓声が起こる。

素晴らしい眺め。
雲海の上に南アルプスが端から端まで・・・!!

うわーーー!!!

山頂駅ベランダから南アを望む

クリックで大


山頂駅から外に出ると、カールの上には真っ青な空に宝剣岳!

中央:宝剣岳  

う〜、最高についてるやん!!
やっぱ、日頃の行いのタマモノ・・っちゅうやつ・・やねぇ〜(* ̄∀ ̄)ノ"




●千畳敷出発(7:10)●

宝剣岳山頂の人も見える。
今日は時間があれば宝剣も周回したい。

・・が、まずはメインの三ノ沢岳に。
急いで身支度を整え出発。
山頂駅前の広場には、意気揚々と出発する登山者の群れ。

一様に上気しているのが見て取れる。
上天気だ!
いざ、出発!!

神社の祠の前で左に極楽平への道に。
右は千畳敷カールから乗越浄土へ。


夏の名残の花を楽しみながら岩がゴロゴロの道をだらだら登っていくと、10分もしないうちに西斜面からガスが湧いてきて、稜線を乗り越して下ってきた。

そして、あっという間に千畳敷もガスに隠れてしまった。
ガスが乗り越してくる
それでも、それから5分ほどは、ガスが流れてまた青空が覗いての繰り返し。
今日は午後辺りからガスってしまうかもわからへんな〜、などと話しているうちに、もう辺りは真っ白なガスに包まれ、すぐ上にあるはずの稜線も見えなくなってしまった。

歩き始めて30分。
極楽平に登りついた時には、西側の斜面から吹き上がる猛烈な風とガスで視界は10メートルぐらい。
山頂駅がみるみる隠れてしまう



●極楽平(7:40)●

早速雨具をつけている人たちも居たけれど、もう少し様子をみることにして、右に道をとる。
吹き飛ばされそうな風

広い稜線の西斜面に道が付いているので、西からの風とガスがまともに吹き付け、髪も服もすぐに湿ってしまった。
寒い。

観念して、三ノ沢岳分岐の手前で雨具を着けることにした。

この気配では、ガスが晴れるのは期待できそうにないみたい・・。



●三ノ沢岳分岐(7:55〜8:05)●


すぐに三ノ沢岳分岐。
三ノ沢岳はここから南西に派生した尾根の一つのピークだ。登山路はそこで行き止まりなので、ここからのピストンになる。

直ぐ北には、目の前に宝剣岳の岩場が屹立しているのだろう。

そして、南西には三ノ沢岳がどっしり根を張っているのだろうけれど、なんせガス・・。
何にも見えない。

けれど、今日は何が何でも三ノ沢岳に行く。
たとえ、展望が全くなくても、雷雨でもない限り行く。・・と決めている。

相方も全く同じ思い・・・かどうか知らないけど、
「どうする?行く?」なんて聞いたりしたら薮蛇になるといけないので、ここは黙っているのが得策だ。


分岐から三ノ沢岳までは行きも帰りも1時間半のコースタイム。
どどど〜んと、下り、鞍部から山頂まで登り返すことになるらしい。帰りはその逆。

尾根の北側と南側はずいぶん様相が違う。
北ははスパッと切れ落ちた岩の斜面。南のなだらかな斜面に道が付いている。

さて、まあここから下ること下ること!
・・こりゃ、帰りはかなりキツイやろな・・(×_×;)

展望がないので、どれくらい下るのか見当がつかない。
分岐からこちらにルートを取ったのは私たちだけみたい。前にも後には人影は見えない。
下ること下ること・・
相変わらず強い風とガス・・に加えて、ぽつぽつと雨も降り出してきた。
こんな天候。三ノ沢に行くのは私たちだけかも・・と、少々不安になってきた頃、下から単独男性が二人登ってきた。

いい加減下って、ここが最低鞍部か・・と思ったら、またしても小ピークの先が下り。

・・というアップダウを繰り返し、結局どこが最低鞍部かはっきり分からなかった。

北側は切れ落ちている


ナナカマドとハイマツ 風を避けてちょっと休憩

鞍部付近、一面ハイマツとナナカマドに覆われている。シャクナゲも。後で調べると、キバナシャクナゲらしい。
ナナカマドの真っ赤な実がガスの中で鮮やかだ。

一足先に色づき始めたナナカマド。




ちょっとした岩場もある。

鞍部から一登りでケルンのある広い稜線。

神よ護り給へ
白き高みへ憧れる
若者を


祈りの言葉と共に
山で逝った3人の若者の名前が刻まれていた。
合掌。

ハイマツの斜面を更に一登りで三ノ沢岳山頂に着く。
山頂手前の斜面は、少し秋色を帯びていた。
夏の最盛期には、さぞや見事な花の斜面が広がっているんだろうな・・。
西からは相変わらず風とガス・・



←少し秋色の斜面




●三ノ沢岳山頂(9:30〜9:55)●

分岐から休憩を入れて丁度1時間半で三ノ沢岳の山頂に着いた。

横に20メートルほどの細長く狭い場所。
7,8人の登山者が賑やかに休憩されている。
写真を撮ろうとすると、

「こっちは色なし。 あっちはカラーですよ。」
と、声をかけてこられた。一瞬、何のことか分からなかったけれど、すぐに山名板のことだと分かった。
左側のピークに立っているのは色なし
すぐ隣のおおきな岩が折り重なったピークのはカラフルなカラー


こちらは色なし こちらはカラー




その方たちが去ると、急に辺りはひっそりと静まりかえった。
容赦なく吹き付ける風の音。
フードを叩く雨の音。

風を避けて南側の斜面で昼食休憩。
・・と言っても、パン、おにぎりで簡単に済ませる。
それでも、そろそろ引き返そうかと時計を見ると、30分近くが過ぎていた。



引き返す途中、先程のグループが休憩されていた。
追い越し様、巨峰を一粒頂く。
甘酸っぱく美味しかった。

今度は私たちが休憩中、通り過ぎる彼らにキャンディーを差し上げる。

東京を昨日の朝出発し、昨夜は宝剣山荘で宿泊され、宝剣岳を乗り越えて三ノ沢岳に足を延ばされたとのこと。

お一人とびきり陽気な年配の男性がいらっしゃった。
山道でほんの一瞬すれ違い、二言三言言葉を交わした間柄だけだけど、何となく愉快な気分にさせてくれた。
山ならではこそのさりげない 関わり・・。





●三ノ沢岳(宝剣岳)分岐(12:58)●

かなりの登り返しを覚悟していたのに、鞍部から30分ほどであっけなく宝剣分岐に着いてしまった。

辺りに人影は見えない。
雨風は相変わらず。

分岐の遭難碑

さて、これから左に宝剣に向かいましょう!
・・って、あんた、行くの?

一応、相方の意思を確認。
ここから宝剣岳の山頂までは鎖場の連続。が、岩自体はざらざらの花崗岩で、雨で濡れても滑る心配は左程ない。
風はきついものの、振られるほどではない。それに、荷物も小さいし。
たくさんの登山者が歩いているルートなので、浮石、落石の心配も比較的少ない。

特に、今日のように他に登山者がいない時は、却って他の登山者からの落石を受ける危険性は低い。

それに、何ていっても距離が短い。

・・と言っても、実は、宝剣岳にこちらから登るのは初めてなのだ。
宝剣山荘側(北側)からは、山頂直下のトラバース地点だけが注意を要するだけで、他に問題はない。
けれど、南側のこちらのルートの方がキケンらしい。

ま、気を引き締めて、行きましょう!

一つ目の岩場を下から見上げた時、足場のない一枚岩の上を乗り越すように見えたので、ちょっとひるんだ。
が、何のことはない。岩の向こう側にルートがあった。


中ほどまで来ると、向こうから登山者がやってくるのが見えた。
山頂までに唯一出会った方々

岩と岩の間を腹ばいになりくぐりぬける。
どうか、今、地震など起きませんように・・。



絶壁に翼のように張り出した岩の上を乗り越える。
乗り越す時、岩の隙間から下に何にもない空間(下)が見えた・・。

・・どうか、今、地震など起きませんように・・。



●宝剣岳山頂(12:10〜12:25)●

山頂は誰もいなかった。
最高点は天に突き上げる大岩。一人立つのがやっと。
さすがに、その上に登るのは止めておく。(みなさん結構登っていらっしゃるようですが・・(^〜^;)・・)

山頂

反対側から単独の青年が登ってきたので、シャッターをお願いする。


山頂の岩に挟まれた窓に建つ祠。
5メートルほど下は、宝剣山荘側からのルート。

青年が去った後も尚もぐずぐずしていると、ヘルメット姿の男女が到着。

早速事情聴取。
・・じゃなくて、情報収集。

聞くと、木曽側から沢を遡ってこられたとのこと。

途中でビバークし、2日がかりで登ってこられたらしい。
枯れ木で焚き火をし、星空を眺めながらの一夜。

皆さん、いろんな形で山を楽しんでいらっしゃるんですね〜

山頂にはこうやって
よじ登ります。



さて、宝剣山荘に下山。

こちらのルートは、注意を要する箇所は山頂直下の10メートルほどの巻き道だけ。


←なぜ笑っているかと申しますと、
娘が小学生の頃、この場所で座り込んで泣き出したことがあったのを思い出しまして・・。
あ〜、ここここ!
ここや〜!

座り込んで、
それ以上登らへんかった・・(^〜^;)

ガスが一瞬途切れ、宝剣山荘が姿を見せる。



●宝剣山荘(12:45〜12:50)●

トイレ・休憩有料


ガスは晴れそうにないけれど、久しぶりなので木曽駒山頂にも足を延ばしてみることにする。
コースタイム、往復で1時間40分ほど。




●中岳分岐(12:58) 巻き道へ●

すぐに中岳分岐。巻き道ルートへ。 積雪期は通行止めになるが、
今の時期は特に問題なし。



●山頂小屋(13:10)●

側にテント場

少し雨がきつくなってきた。
山頂小屋には寄らず、山頂へ登る。
小屋の側には広いテント場。中アで唯一つのテント場らしい。




雲が流れて、さあ・・っと、青空がのぞく!!
期待する・・・が、ほんの一瞬、数秒のことだった



●木曽駒ケ岳山頂(13:25〜13:35)●

雨の山頂

雨にもかかわらず、山頂には20人ほどの登山者がいた。
が、着いたとたんに雨が一層激しくなり、あっというまに皆さん下山。
風もかなり強い。



●山頂小屋(13:45)●

斜面を駆け下り、山頂小屋へ。
雨が一層きつくなってきたので、雨宿りできるスペースを求めて山頂小屋に寄る。・・が、土間さえない。

走るように巻き道を宝剣山荘まで戻ってくる。




●宝剣山荘 (14:10〜14:40)●

宝剣山荘は、トイレは勿論、休憩も有料。(一人200円)が、売店を利用すると無料になる。

行きにバッチを買ったので、ダメモトと思い一応声をかけてみると、売店のオネエサン、快く「どうぞ〜」と言って下さった。(オバチャンの勢いに負けたのかもしれませんが・・)




小屋を出て乗越浄土から千畳敷へ向けて、ますます激しくなった雨の中を30分余りで駆け下りたのでした。


雨の中、尚も登る登山者




久しぶりの中ア。
雨の一日だったけれど、面白かった!
雨もこれだけしっかり降ると爽快感さえ覚えたりして・・(^〜^;)

それに、朝のあの胸のすくような眺めを見られたのだから、もう、言うことなし!

次回は空木岳、それに越百山(こすもやま)。
・・それに、AコースだとかBコースだとか、何だかいろいろ面白そうなルートもたくさんある様子。

あ〜、もう少し近ければ・・・な〜・・(>_<;)





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