ルネのきままなアトリエ
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●画像が重くて、とびきり時間がかかります。歌でも歌ってしばしお待ちを・・・(;^_^A)




燕岳:2763m  大天井岳:2922m  常念岳:2857m  蝶ヶ岳:2664m  

2006年 8月  28日(月) 中房温泉〜燕山荘〜燕岳ピストン〜大天井岳(泊)
29日(火) 大天荘〜常念岳〜蝶ヶ岳(泊) 
30日(水) 蝶ヶ岳ヒュッテ〜長塀山〜徳沢〜上高地バスセンター

蝶槍ピークより  左端:槍ヶ岳  中央:大天井岳  右:常念岳

8月初めの白馬から唐松縦走に味をしめ、夏も終わろうとしている8月末、北ア、燕岳から常念岳を越え蝶ヶ岳まで歩いた。。

夏の名残のお花畑。人気のない縦走路。
雲の切れ間より時折姿を見せる槍穂の稜線。
宿泊者のまばらな山小屋での、見ず知らずの方々とのしばしの語らい。
・・・充実した山歩きだった。



8月29日から3日間、相方が休みを取れた。こんなチャンスは滅多にない。
今一度、北アの稜線を歩きたい!

・・・が、小屋泊まりの山行となると、出費も馬鹿にならない。それに、高速代にガソリン代・・・ああ、頭が痛い・・・。テントを担いでいく体力はさらさらないし・・・。
 
度重なる山行と、家計を預かる者の無計画な浪費で、既に我が家の家計は破綻寸前。
オマケに、8月22日当市を襲った猛烈な雷雨で、自宅横の電柱に落雷。パソコンが壊れてしまった。マザーボード取り換えとやらで、目ん玉が飛び出る程修理代がかかるらしい。

・・・あ〜、やっぱり山は諦めるしかないか・・・。

が、「そや、山なんかやめとこ、やめとこ!!」とばかり言うと思った相方が、
「それとこれとは別や!行こや!」と、きっぱりと言い放ったのだ。
おお!!お父ちゃん・・・!!  (・・・別や、って言うても、財布は一つなんですが・・・)

そうや!今を逃すといつ登れるか分からへん!
明日の我が身を誰が知る!!
今の山は今しかない!  一期一会だ!!!
金は天下の回りモノ!!!!

何だかもう、ヤケクソみたいなノリで出発したのでした。



―1日目― 8月28日(月) 晴れのち曇り夕方雨


コース 広域地図  コース
 6:25 中房温泉
 7:13〜 7:23 第2ベンチ
 8:54〜 9:10 合戦ノ小屋
 9:26〜 9:32 合戦ノ頭
10:13〜11:28 燕山荘 (燕岳 2763m ピストン)
12:14〜12:24 大下り手前
13:34〜13:45 西岳(槍ヶ岳)分岐
14:25 大天荘 (大天井岳 2922m ピストン)


前日夕方5時半、自宅出発。夜10時半、信州松本梓川PA到着。
翌日早朝まで車中にて仮眠。

前回の白馬では、睡眠不足も相方の高山病の大きな原因の一つだった。
今回はそのことも考慮して、多少時間にゆとりを持たせた。

朝5時前、豊科の、南安タクシー営業所に到着。
実は、今回初めてマイカー陸送を利用する。(おカネがないと嘆いている割には太っ腹だ・・・)

中房温泉から燕岳に登り、蝶ヶ岳まで縦走、上高地下山となると、いろいろ検討したけれどこれしかない!(・・・あと、松本までバスと松電を乗り継いで出て、大糸線で戻る・・・とか・・・)

蝶ヶ岳から東に三股への下山も考えたけれど、7月の豪雨で林道が崩壊し、車は通行止め。林道を10キロ近く歩かなければならない。
それに、久しぶりに徳沢を訪ねてみたい。

5時過ぎ、営業所よりタクシーで中房温泉へ向かう。
山行の間にマイカーは沢渡へ陸送してくれる。陸送料8000円。中房温泉へのタクシー代8000円。
(ふ〜、やっぱり山は高くつく・・・とほほ・・・。)




6時前、中房温泉到着。
駐車場は3ヶ所。合わせて120台ぐらい駐車できるらしいけれど、今日はほとんど停まっていない。ピーク時には溢れ出した車が路上駐車し、バスの運行に支障の出ることもあるとタクシーの運転手さん。

売店、トイレ横のベンチで準備。登山届提出。
体調さえ良ければ今日は大天井岳まで行きたい。早く出発しようと気持ちは焦るけれど、ストックの長さ調節の具合が悪く出遅れてしまった。

6時25分、出発。

すぐに樹林の中の急登が始まる。この合戦尾根の登りは北アルプス3大急登の一つ。(後2つは、烏帽子岳のブナ立尾根。もう一つは、笠ヶ岳への笠新道?薬師岳への折立から太郎平の登り・・・だったっけ?・・・気になったのでちょっと調べましたが、どうもよく分かりませんでした)

でも、いつも思うのだけれど、3大急登以外にもキツイ登りはいっぱいある。・・・って、むしろどこの登りも大差なくキツイ。

数多の登山者で踏み固められた土は粒子が細かく、今は固く締まっているけれど、いったん雨が降ればぬかるみ、どろどろの滑りやすい道になるだろう。

20分余りで第1ベンチ。
更に30分で第2ベンチ到着。小休止。
 
中房温泉売店とトイレ

樹林の急登が続く


第2ベンチ


ベンチで休憩していたご夫婦は、75歳とのこと。若い頃から山登りを続けていらっしゃるらしい。先日はキナバル山に登ったと話しておられた。
・・・う〜ん、その年齢まで後20数年・・・か。山登りを続けているかどうかより、まず、もうこの世にいない・・・かも・・。


ベンチから上も同じような登りが続く。
天気予報とは裏腹に、雲はあるものの青空が見える。
道は次第に粒子の粗い花崗岩のざらざら道になっていく。

青空が・・大天井岳も見えてくる 中房:2.5km 燕岳:3.0km 次第に花崗岩のざらざら道に

樹間より中房温泉の赤い屋根が見下ろせる。かなり登ったはずなのに、まだすぐ下に見える。
展望が次第に開け、安曇野を覆い尽くす雲海の上に出る。


中房温泉の赤い屋根が見える 雲海の上に出る

合戦ノ小屋まで我慢して登ろうと思ったけれど、持たなかった。ちょっと手前で休憩。
水分とエネルギー補給。

上から大きなザックを背負った女子大生らしき一団が下りてくる。思わずシャッターを切る。蝶ヶ岳から縦走してきたと言う。
数十年前の自分の姿とちょっとだぶる。(こんなにカワイクなかったけど・・・)

9時前、合戦ノ小屋到着。
小屋の前にはたくさんの登山者が休憩していた。

ここまでコースタイム3時間のところ、何と休憩を差し引くと2時間10分で登っている。

後、燕山荘まで2時間ぐらいか・・・。地図でコースタイムを確かめると、あれっ・・・?1時間10分。勘違いしていた。こ、こんなに近かったっけ?
若者よ〜!

合戦ノ小屋


昔、初めての北アルプスがこの登りだった。
テントやら一週間分の食料やらでぱんぱんに膨らんだキスリング(縦にいくらでも伸びますから・・・)を背負い、雨でずぶ濡れになりながら、登った。
登っても登っても合戦ノ小屋に辿り着けなかった。3歩登って2歩滑る。1歩進んで2歩下がる・・・。コースタイムの倍はかかったんじゃないかと思う。

翌年、同じ道を今度は下からの登山者の間を縫ってものすごい勢いで駆け下りたのを覚えている。

合戦ノ小屋でたっぷり休憩し、出発。
合戦ノ頭までは更に登ること15分ぐらい。

合戦ノ小屋付近で・・・他にもたくさんの花が見られます・・
リンドウ ウメバチソウ

合戦ノ頭の手前で、前を行く一団が遠くを眺めながら道を塞いで止まっていた。
富士山がどうとか、北岳がどうとか言っている。

雲海の遥か彼方に、山頂付近が平になった山が小さく見える。富士山らしい。
その右に三角形の尖がった山。北岳らしい。

燕岳から大天井岳方面への稜線も姿を見せてきた。
大天井岳がずっと遠くに見える。今日はあそこまで行くのかと思うと、気が引き締まる。
富士山と北岳・・・方面・・・(^_^;) 大天井岳への稜線・・・

合戦ノ頭で標高2489m。
気になるのは相方の高山病。今のところはまだ大丈夫の様子。

今回は万全を尽くした・・・はず・・・。

●前夜睡眠をたっぷりとる→まずまず

●水分補給をしっかりと
(血液がどろどろになると、より酸素の供給量が少なくなるらしい)→いつもより意識して摂っている(夏場は水分補給にスポーツ飲料なのだが、今日は2人で6リットル持参した。 それにアミノバイタルのジェルブドウ糖などなど・・ )

●その上
→登山用品店で相談して食べる酸素吸入用携帯酸素を準備してきた。(いずれも効果の程は分かりません。気休め・・・という話も・・・(;^_^A)

これで駄目なら、もう仕方ないわ〜・・・。下山してもらいます、一人で!!(・・・え?見捨てるんかい・・・)


合戦ノ頭(2489m)から
左手稜線上に燕山荘   右端:燕岳

合戦ノ頭からは、燕山荘から燕岳、北燕岳、そして餓鬼岳への稜線が間近に望める。
燕山荘はすぐそこだ。

この辺りからちらっと槍ヶ岳が見えるはずなんだけど、どうやら雲がかかっているようで分からなかった。

そこからは登りも割と緩やか。正面に稜線を見ながら、花崗岩のざらざらした尾根道を花を眺めながらもう一頑張り。


ガスが晴れたりかかったり・・・ もう一息


ちょっとしたザレ場も・・・ あそこまで歩くんか・・・

燕山荘の手前、道の上下の斜面一面に花畑が広がる。
トリカブトの鮮やかな紫がひときわ目を惹く。夏の初めとはまた違う花が咲き乱れている。
すぐ下の斜面にサルの群れがこちらの様子を窺いながら、しきりに口をもぐもぐさせている。こんな高い所まで登ってきているのかと驚く。

燕山荘直下のお花畑の斜面

ハクサンフウロもまだ・・
ゴゼンタチバナ
(下の方では花は終わっていた)
コガネギク


合戦ノ頭より40分で燕山荘到着。
小屋の前のベンチに5,6人休憩している。小屋の中もひっそりとしている。



燕山荘 小屋前よりサイト地越しに燕岳


高瀬川の深い谷を隔てて裏銀座の山々、そして、北鎌尾根の上に槍ヶ岳がど〜んと見えるはず・・だったのですが・・・お目当ての槍ヶ岳は・・・雲の中・・・でした
(槍ヶ岳はもうちょっと左手です)

小屋前にザックを置いて、燕岳にピストンすることに。
ささ・・っと行って戻ってくるつもりが、山頂は記憶にあるよりずっと向こうに見える。
ざらざらの花崗岩の砂地を少し下って登り返す。

左:裏銀座コースの山々     右:燕岳

風化した花崗岩で出来た巨大なオベリスクが屹立する間を縫って、山頂に。
途中、ロープで保護した中に名残のコマクサが咲いていた。

メガネ岩・・? お疲れさん・・・ありがとう
トウヤクリンドウ 写真で見るよりずっと巨大だ・・




山頂は、花崗岩の出っ張り。狭い。
安曇野方面は一面の雲海。その上に有明山の大きな台形の山頂が浮かんでいる。
表銀座の山々も、稜線は雲に覆われている。
北に連なる餓鬼岳への稜線も時折ガスに包まれて見えなくなる。

燕岳(2763m)
誰もいない静かな山頂・・・有明山(2268m)が雲海の上に


山頂より北燕岳から餓鬼岳方面

山頂より燕山荘方面・・・表銀座コースの緩やかな稜線が続いている  

下りようとした時に、やっと一組のご夫婦が登ってきた。
記念撮影のシャッターをお願いして、早々に山頂を辞す。燕山荘まではひとっ走り。



途中で、登りで追い越した人たちが向こうからやってきた。彼らは今日は燕山荘泊まりとのこと。今日大天井岳まで行く人はどのくらいいるのかな?一組、30代くらいの男女がいたけれど、燕岳のピークはパスした様子。槍ヶ岳に行くとおっしゃっていたけれど。

燕山荘まで戻り、小屋にこの数日のお天気を聞きにいく。

とにかく、何が怖いといっても、稜線上で雷雨に遭うのが一番怖い。
雷の被害に遭う確率なんて、もしかしたら宝くじに当たるより低いのかもしれないけれど、なんせ、我が家は先日その被害に遭ったばかり。やはり気になる。
聞くと、数日ぐずついたお天気だけど、雷は鳴っていないらしい。

出発の用意をしていると、高齢のご夫婦が登ってこられた。
北九州の方。今から燕岳をピストンして、できれば大天井岳まで行くと言う。ご主人は72歳とのこと。(このご夫婦とは結局、三日目まで同じコースを辿ることになる。とびきり愉快でパワフルな方だった)


コマクサの咲く道を大天井岳に向かって

燕山荘からしばらくは、広い稜線上を緩やかに下っていく。
晴れていれば、小槍を従えた槍ヶ岳を右手前方にずっと眺めながらの稜線漫歩になるはずなのに・・・。やはり厚い雲の中。

が、不平は言うまい。
涼しく静かなアルプスの稜線を歩けるだけでも、素晴らしく幸せだ。

振り返る   


蛙岩

小さな登り下りをを繰り返しながら、蛙岩(げえろいわ)を通過。
形が蛙に似ているらしいけれど・・・。
覆いかぶさるような大岩の間を抜けていく。

振り返る

更にしばらく行くと大下り。手前で小休止。
燕山荘から50分ほどで、出会った登山者はたったの2人だった。

足元を見下ろしながら
「大下り・・・って言ったって、不帰ノキレットの天狗の大下りに比べたら、こんなん大したことないやんなぁ・・・。」

・・・などと、不遜なことを言いながら調子よく下って行ったけれど・・・当然のことながら、下った分だけ登り返さないといけない。

疲れた身にはこれが結構きつかった('〜')
大下り手前


今度は登り・・・('〜') 信州側を巻く・・花を見ながら・・


ここもトリカブトがたくさん・・・ニッコウキスゲはもう終わりでした
ミヤマコゴメグサ タカネナデシコ

ガスが深くなっていく・・・それにしても誰にも出会わない


唯一の鎖場・・・切通岩


ガスがますます深くなり、今にも降りだしそうに辺りが暗くなってくる。
大下り手前の休憩から1時間少しで槍ヶ岳との分岐に到着した。
これから大天荘まで40分の登り。あと少しだ。

相方の高度への適応も、今日さえ乗り切れば・・・。

酸素をより多く体に取り入れるには、喋ることも有効らしい。で、相方に何やかやと話しかけるけれど、いつも通り「う〜」とか「あ〜」とか短い返事しか返ってこない。そんなら歌でも歌ったらと提案するが聞き入れる気配なし。

とにかく、食べる酸素酸素吸入で乗り切る。


槍ヶ岳(西岳)との分岐 大天井岳を登る

大きな岩のごろごろした道を40分、あと一息、という所で休憩も入れながら、2時半前、やっとのことで大天荘に着いた。


大天荘

部屋に荷物を置き、山頂へ。
山頂は小屋からすぐ。10分くらいのところ。ここも、誰もいなかった。
ガスに包まれ展望はなし。


大天井岳(2922m)山頂にて  注:多少脚色しています(;^_^A)
何でこんなとこにおるんやろ・・・ イエ〜イ!! 早くおうちに帰りたい・・・


小屋の手前でバラバラと雨が降ってきた。
部屋に戻って一眠り・・・というわけにはいかないのだ!!(○_○;)

寝てしまうと、相方の高山病が発症するかもしれない。眠ると心臓の働きが弱まり、当然のことながら酸素の供給量が減ってしまう。
その辺をうろうろ歩き回る喋り続ける歌い続ける、この三つの中から選ばねばならない。

その三つとも嫌だと言うので、仕方なしに休憩室で北アルプス紹介のビデオを見て過ごした。広い部屋貸切状態。

驚いたことに、ここのテレビ、下界と同じように映る。自由に見て良いとおっしゃる。○曜サスペンスだかなんだかの再放送をやっていたけれど、ここまで来てそれも・・・なぁ・・・(;^_^A


雨の中、ちらほらと登山者が到着している様子。
あの北九州の72歳のご夫婦はどうされたんだろう・・・と気にしていると、夕食前になって聞き覚えのある元気な声が玄関から聞こえてきた。
すごい!やっぱりここまで歩かれたんだ!!

休憩室独占

快適な室内・・寝具もキレイ

夕食・・肉料理と魚料理のどちらかチョイスできる

その夜の夕食に集まったのは9人。他に自炊の男性が3人いらしゃったから、本日の宿泊12名。
行きずりの方々ながら旧知の間柄のように9人全員、夕食が終わってからも2時間近く喋っていた。(それを嫌な顔もせず許してくれる小屋の方の心遣いも嬉しい)

その北九州のご夫婦は何と、青春18切符を利用して松本まで来られている。早朝福岡を出発して、夜11時に松本に到着するらしい。72歳で青春18切符!
とにかく陽気で愉快な方だった。人生楽しくて仕方ない、という様子。

他の方々も、とにかく個性的で愉快な人たちだった。


結局、宿泊者の中で燕岳方面から来たのは、私たちとそのご夫婦だけだった。
他の方は、蝶ヶ岳ヒュッテから縦走してきたらしい。皆さん口を揃えて仰る。
「こんなにキツイと思わなかった・・・」

翌日そのことをしみじみと知ることになるのだけれど・・・。
とりあえず、1日目は無事終わりました。
・・・やっと眠れる・・・。外はやっぱり深いガスに包まれている様子。

心地よい疲労感と共に、睡魔がどっと押し寄せてきた。明日も好い日でありますように・・・(-_-)zzz...。


●2日目に行く● 




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