ルネのきままなアトリエ
⇒ぼちぼち歩きリストに戻る
⇒山域別リスト

      〜その2〜  ⇒その1に     南アルプス  標高:3032.6m

2007年10月7日(日) 快晴

 
コース 広域地図     コース詳細地図
 5:40 北沢駒仙山荘(テント)
 5:50 北沢峠
 6:00 大平山荘
 6:40〜 6:45 五合目(大滝見)
 8:15 馬の背ヒュッテ
 9:05〜 9:25 仙丈小屋
 9:50〜10:30 仙丈ケ岳山頂
11:10〜11:40 小仙丈ケ岳
12:15〜12:30 大滝の頭五合目
13:25 北沢駒仙山荘(テント)
※途中の小休止は省略


テントを出発してから4時間ちょっと、やっと仙丈ケ岳山頂に着いた!
登りのしんどさを忘れてしまう、素晴らしい展望が広がっていた。

●仙丈ケ岳山頂(9:50〜10:30)●



標高3032メートル。
昨日の甲斐駒より少しばかり高い。

たくさんの登山者で賑わう山頂は、周囲遮るもののない眺め。
今日はほんとに快晴。

周囲の山々は、昨日よりかなりすっきりと見渡せる。

あれ?
そういえば、昨日と言い今日と言い、相方の高山病はどこへ行ってしまったんだろう・・。
念のため携帯酸素はザックの中だけど、その出番はなし。
・・ま、出ないに越したことはないけど・・。


北から東の眺め


仙丈小屋の建つカールを見下ろす・・鋸岳の後は八ヶ岳です


東から南の眺め



北岳と富士山アップ!



西から北にかけて
中央アルプス・御嶽山・乗鞍・北ア・八ヶ岳・などなど・・



山頂にて昼食。
テントで剥いてきたが美味しい!

昨日甲斐駒で見かけた方々を多数見かける。
隣のお父さんと一緒の男の子もそうだ。
小学3年生だと言っていたけれど、軽く登っている。摩利支天にも足を延ばしていた。
逞しい!!
パン・柿・リンゴなど・・ 仙丈にもクラッツ!(意味はない)

いつまでも過ごしていたい山頂だけど、そうもいかない。
山頂に到着してからあっという間に40分も過ぎていた。そろそろ下山しないと・・。
10時30分下山開始。





爽快な空中散策
山頂から北沢峠まで、尾根通しの道を下る。
さながら天上の散策路、といったところだ。

真正面に甲斐駒、右に北岳を従えての空中散歩が続く。
カールは一面秋色に染まっている。

光を浴びてひときわ鮮やかな紅葉。
ハイマツの緑とのコントラストが美しい。
胸のすくような下りが続く。

正面・・鳳凰三山
右・・北岳
手前右端・・小仙丈ケ岳

これから辿る道が、引っ掻き傷のように見える。


空中散歩

山頂(右)を振り返る

下から見覚えのある方が登ってきた。
昨日甲斐駒山頂で言葉を交わし、テント場でご馳走を下さった斑鳩のFさんご夫妻

今日も奥さんは空身。
ご主人が荷物を全て担いでいる。
調理も全てご主人がしていたっけ。

「(主人は)家では、な〜んにもせえへんから、ええねん」
と、笑いとばされる奥さん。
しばし言葉を交わし、写真を撮って別れた。
お元気で!
またどこかの山頂でお会いしましょう!

・・と声を掛けると、ご主人は
「○木の○鉄(デパート)で会いましょう!」
とおっしゃった。

○寿館の一番安い肉を買っているところなんか目撃されたりして・・
注意注意・・(⌒〜⌒;)

小仙丈ケ岳が近づいてきた

小仙丈ケ岳は岩場の登り返し




●小仙丈ケ岳(11:10〜11:40)●

ここも素晴らしい展望!

甲斐駒が真正面!
昨日辿った全ルートがはっきりと見えている



振り返ると・・

巨大な小千丈沢カール


山頂からここまでは快適な道ながら、
やっぱりかなり膝が疲れてきた。

相方は、昨日岩角にぶつけた左膝が痛むらしい。
ここで30分の大休止。

11時40分、小仙丈ケ岳を後にする。




色づき始めたナナカマドと実・・向こうに富士山と北岳


急なガレの下り
下り始めてすぐ、相方が何かを指差している。
一羽のハトだった。鑑識を付けている。伝書鳩?
この3000m近い稜線で羽を休めているのだろうか・・。

ナナカマドとハイマツの斜面をぐんぐん下る。
・・やっぱりこちらのルートの方が、登りは断然キツイだろう!!

見下ろすと、正面の谷底に赤や黄色のテントが見える。
うちのテントはどれかな・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
途中、小学低学年くらいの女の子が、道端の石に腰掛け、しゃくりあげて泣いている。側に親らしきご夫婦が立っている。

側を通り過ぎて10メートルほど下ってから、
・・何かおかしいと気がついた。

女の子は泣きじゃくりながら
「お、お父さ〜ん・・・お母さ〜ん・・」

どうやら女の子は家族とはぐれて、一人ここに取り残されたようなのだ。
側のご夫婦は通りがかりの方らしい。

親は子供が付いてきていないことに気がついていないのだろうか。こんな場所で一人取り残されたらどんなに心細いか・・。

ここは近所の裏山ではない!3000メートルの高山なんだ。
子供に責任はない。
登山するにはそれなりの自覚が必要。ましてや子連れでの山歩きとなると、親として一層の気遣いが必要だ。
子供とはぐれるなんてもっての外!!


見て見ぬ振りして通り過ぎることも出来ないので、立ち止まって様子を見る。
登りの途中ではぐれたみたい。
子供が付いてこないのに気がついて下ってくるかもしれない。

立ち止まって成り行きを見守るが、いつまでもここで見ていても、何の役にも立たない。
もう少しパワーがあったら、とことことこ・・っと登り返して、親を呼びに行ってやるのに・・・。

気にはなるけれど、側で付き添っているご夫婦に任せることにして、先に下山させもらうことにする。


気軽に日帰り登山できるようになった3000メートルの山。
けれど、山の厳しさは昔も今も変わらない。
そのことをどれだけの登山者が自覚しているのだろうか・・。

ま、私も偉そうなことは言えないけど・・・。




樹林帯に入り、石がゴロゴロのキツイ道をひとしきり下ると、大滝の頭五合目に着いた。
左から馬の背ヒュッテからの巻き道が合流する。

休憩して膝を休ませる。

●大滝の頭 五合目 (12:15〜12:30)●

大滝の頭 五合目 石がゴロゴロ
そこから先は、前にも増して急坂。
石、木の根に足をとられないように注意しながら下る。
見上げる


三合目付近で休憩していると、後から先程の夫婦が下山してきた。
声をかけてみる。

驚いたことに、女の子ははぐれたのではなかった。
置き去りにされたのだった!
両親と登山途中、女の子が疲れて歩けなくなり、親が山頂に行ってくる間ここで待つように言い残し、登っていったらしい。

幸い、両親は小仙丈ケ岳で引き返したらしいけれど・・。
女の子は小学2年生。
テント場にはまだ、姉と弟が残っているとのこと。

う〜ん・・・。
我が家もかつては子連れで山を歩いた。
親の気持ちも分からないではない。
でも、それはしたらあかんやろ・・。

「親の気持ちを優先させたらダメよね〜」
言いながら、ご夫婦は下っていかれた。
ご苦労様でした。



樹間よりから駒津峰 北岳も垣間見えて・・

程なくテント場の近くに下ってきた。




●テント場(13:25)●

ほぼ予定通りの時間でテントに戻ってくる。
正面には真っ白な摩利支天。
振り返れば、逆光の中に小仙丈ケ岳。
好いテント場だった。
コーヒーで乾杯!!


北沢駒仙山荘の横の岩壁に埋め込まれた竹沢長衛レリーフ
甲斐駒・仙丈の開拓に力を尽くされた方



もう一つ余談がある。
北沢峠バス停での出来事。

前の10人パーティが、バス会社の方にヘリコプターの出動を要請していた。
ところが、「本人でないとヘリの要請はできない」と小屋の方に断られ困っている。
事後の費用を誰が持つかなどで、後からもめることが以前にもあったからだという。

聞くと、救助を要請されているのは、彼らが途中で出会った方らしい。
小仙丈ケ岳付近で、ご主人が足を捻挫し歩けなくなり、奥さんが側で付き添っているという。

ヘリの出動を頼まれた彼らは、一刻も早くと急いで下山してきたらしい。
時刻はもう3時半。
秋の夕暮れは早い。稜線付近では、気温もかなり下がってきていることだろう。
今か今かと助けを待っている彼らは、どんなにか心細いことだろう。

誰しも救助を要請するような事態に陥らないことを願っている。
また、そんなことにならないように、リスクを最小限に減らす努力もしているだろう。
けれど、だからと言って危険性はゼロにはならない。

ちょっとした不注意や、その時の不可抗力の出来事で、自力では解決できない事態に陥ることはあると思う。
そう思うと、山頂で今か今かと救助を待っている方のことは他人事とは思えなかった。

(もちろん、ハイキング気分で山に来て、安易に救助を呼ぶなんてのはもっての外ですが・・)

しばらくして、やっとヘリが出動してくれることになったらしい。
良かった!

前の彼らは、このために2便もバスを遅らせた。
ご苦労様でした。




北沢峠3時半に乗車。
下り始めてすぐ、ヘリが爆音を轟かせて、上空を飛んでくのが見えた。

車窓からの鋸岳の巍々たる岩峰。甲斐駒の威容。
遥か何百メートルも下を流れる戸台川。
川沿いの道を延々と歩くこともなく、今は1時間ちょっとで北沢峠までバスが運んでくれる。

この2日間をしみじみ振り返りながら、改めてこんなに手軽に素晴らしい山を味わえるようになったことに感謝をしたい気持ちでいっぱいになった。

50分弱で仙流荘バス停に到着。

混雑している仙流荘を避け、高遠温泉桜の湯で汗を流し、自宅に帰り着いたのが夜の10時。

お天気にも恵まれ、最高の2日間だった。
お父ちゃん、お付き合いありがとう!!



それにしても・・・。
一つの山の頂に立つと、彼方に見える山の頂に心が飛んでゆく。
その頂に立つと、今度は更にそのまた向こうに見える峰々に心が動かされる。

いつまでたっても、きりがない。
そして、その先に待っているのは・・・

・・先の見えない老後と、明日からの極貧生活!イテッ!\(-_-)



●前ページへ



●一日目の甲斐駒ケ岳へ●





⇒ぼちぼち歩きリストに戻る

⇒山域別リスト