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▲涸沢ヒュッテ手前のナナカマド 2日目へ
今夏の暑さはひどかった。 ほんとに秋はやってくるのかしらん・・・などと真剣に心配したけれど、 9月末辺りから突然・・といった感じで北海道などの紅葉の便り。 涸沢も、同様。 10月に入るや否や紅葉が一気に進んだらしい。 この週末には相方との山行を予定していたけれど、 さすがに週末の涸沢に行く勇気はない。 で、二日前、つい高速バスの予約を取ってしまった。 家人には事後承諾・・ってことで・・。 (この1年半ずっと自宅軟禁の日々でしたので、これくらいのわがままは・・・) ●1日目(10月6日)・・・・上高地から紅葉の涸沢へ● 前夜11時半京都から松本行の夜行高速バスに乗車。 2年前の大失敗はよもや繰り返すまいの決意は固く、ウエストポーチは片時も外さない。 幸い、二人席で隣席は空きだった。 二人分のスペースをそっと使わせていただき仮眠。 松本から順調に電車とバスを乗り継いで、上高地に着いたのが8時半。 上高地は爽やかに晴れ渡っていた。 少しでも早く出発したいと、登山届を事前にインターネットで提出したにも関わらず、 観光客で賑わう河童橋で「地元テレビ局」の取材を受けて5分ロス。 前回2年前の涸沢の時も新聞社の取材を受けた。 小梨平のすぐ先で初老のご夫婦が声をかけてこられた。 「奈良からですって?私らお隣ですねん」 先ほどの取材を聞いていらっしゃったらしい。 そこからその大阪のご夫婦と言葉を交わしながら歩いたのだが、その足の速いこと! 明神でも止まらず、(私はちょっと水休憩) 徳沢でも立ち止まらず、前を行く登山者をごぼう抜き! 横尾の手前で、もう付いていけなくなってしまった。 それでも何とか、2時間で横尾までたどり着き大休止。 ほとんど休憩もせず、ひたすら歩き続けてかなり疲れてしまった。 これからの山道、コースタイム通りに歩いたとしても、涸沢に着くのは2時を回る。 やっぱり奥穂までは無理・・・やんなぁ・・・ ▲横尾大橋の 向こうに屏風岩 実は、涸沢のぎゅう詰めの小屋を避け、出来れば穂高岳山荘まで何とか行けないものか・・ でもって、明日は久しく歩いていない岳沢を下る・・・ などと、密かに目論んでいたのだ。 前日穂高岳山荘に問い合わせると、 「9時出発じゃ遅すぎます。無理はしないでください。食事は4時ぐらいまで到着なら用意できます」との返事。 どう考えてもこの季節じゃ、おまけに今の私の体力では無理・・・。 ここは潔く諦めて、明日はパノラマコースを下山しよう・・・。 横尾11:10出発。 屏風岩が次第に迫ってくる。真ん中あたりから上部が少し色づいている。 平日とはいえ、登山者が列をなしている。 下山の登山者もかなり多い。 本谷橋の河原 本谷橋を過ぎた辺りから、少しずつ少しずつ、それこそグラデーションのように 木々の色が変化し始める。 ガスが湧いてきて、稜線を覆い始めた。 Sガレ手前付近の登山道 甘い匂いに顔を上げるとハート形の葉。カツラだ! 鮮やかに黄葉してカラメルのような甘い香りを漂わせている。 登山者はひっきりなしに行き交うけれど、やはり平日。 一つグループを追い越すと、その先はぽっかり空いている。 涸沢泊まりと腹をくくるともう急ぐ必要はない。 次第に色づいていく木々を楽しみながら、 カメラのシャッターを切りながらののんびり歩き。 涸沢が見えてきた。 ガスでぼんやりとし始めているけれど、錦の絨毯のような斜面が望める。 対岸の斜面も次第に色づく シャカシャカとカメラのシャッターを切っていると、上からの登山者 「もっと上はきれいですよ!」 「期待できますぅ?」 「できますよ!!もう、すっごくきれい!!」 涸沢ヒュッテの吹き流しが近づいてくると、 辺りは一気に錦絵の世界になった。 屏風の頭を振り返る 中央:ヒュッテ手前の(有名な?)ナナカマド あちらでもこちらでも溜息のような歓声。 もう、もう、笑うしかない・・!!? ヒュッテ手前の石畳の登りがきつかったけれど、予定通り2:00ヒュッテ到着。 ガスに覆われた穂高岳山荘付近をチラッと見上げるけれど、もう未練はなかった。 疲れました・・・。 宿泊受付では「二人で1枚の布団」と言われたけれど、 結局4枚の布団に5人。 嬉しい誤算だった。 (ちなみに、前夜は満員で二人で一枚だったらしい。) 実は(・・ってそればかりだが・・)前日、涸沢小屋の予約が取れず。 それならテントで・・・涸沢までなら何とか・・ と、テント装備の支度をした。 帰宅した相方に「あほかーー!!」と怒鳴られてしまった。 ま、それも無理もないことではあるけれど・・・。 体調を崩し1年半。体力もガタ落ち。 ようやくこの夏、ぼちぼち山を歩けるようになったばかりだ。 けどね・・超満員の山小屋は・・・・ 数十年前のトラウマはたやすく克服できそうにない。 とりあえずビールで乾杯! で、そのあたりカメラ片手に散策…のつもりだったが予定が狂った。 たまたま隣に座った方と話が弾み、数時間。 気が付けが夕闇が忍び寄り思わずゾクッとするような冷たい風が吹き始めていた。 カールの紅葉は明日の楽しみに・・。
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