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ここから登山口までのてんやわんやの顛末 パスしたい方はここをクリック (いつもながら痒いところに手が届く親切さ・・( ̄〜 ̄*) 前夜ネットの京都バスの時刻表で確認した時はそんなこと一言も書いていなかった・・と、思う。 ここから比良に行くには京都駅に行き湖西線に乗るしかない。 でも、そんなことしていたら、登山口に着くのは昼近くにもなってしまうかもしれない。 どうしよう・・・。 が、ここで考えている時間の余裕はない。 発車しようとしている広河原行に咄嗟に乗り込む。 その昔、北山を歩くときはこれに乗った。 仕方ない、数十年ぶりに北山でも歩くか・・・。 ドアが閉まりバスは発車。 が、いったいどこを歩くのか?北山の地図なんて持ってきていない。 学生時代歩き回った北山とはいえ、30数年も昔の話。 貴船から鞍馬あたりをちょこっと歩いてみようか・・。 けど、アイゼン持ってスノーシュー担いでそれもなぁ・・。 降りるなら今しかない!通りへ出る信号で止まった時、運転手さんに声をかける。 『すいません、降ろしてください!今乗ったんですけど、間違えました!』 『あ!どうぞ!』 やっぱり今日は比良だ!!張り切って出てきたのに、こんな所で挫折してどうする!! 何が何でも武奈ヶ岳に行こう!! バスから降りてしばし考える。京都駅に一番早く着く方法は・・? 目の前にタクシー乗り場。迷わず直行。 京都駅への車内で運転手さんに事の次第を話す。 『え?朽木行のバス、走ってますよ!昨日も走ってましたよ! 何なら今から追いかけましょか?すぐに追いつくと思うけどな〜』 いや、だから、案内所で聞いたら休日しか走ってないって言われたんで・・。 『今朝も見た気がするけどな〜』 首をかしげながらも驚くべきスピードで走ってくれ、京都駅8:15発湖西線に乗車する。 あ〜、やっと武奈ヶ岳に行ける・・。 予定とは反対からの入山になってしまったけれど、坊村17:21の出町柳行のバスまでには下山できるだろう・・。 あれ?ちょっと待って・・。 そのバス、ほんまに走っているの? これもまた休日だけ・・なんてこと・・ないよね・・ 慌てて携帯で京都バスの電話番号を調べる・・が、見つけられない! 会社の沿革?そんなものいらん!!系統、路線、営業所の場所?いや、知りたいのはデンワ番号!! 隣で携帯をいじっていた大学生くらいの男の子に声をかける。 『すみません。京都バスの電話番号調べてもらえません?』 あっという間に調べてくれて、京都バスにTEL。 『あ〜この路線、平日は廃止になりました。』 『いつから?』 『4月1日からです。』・・今日からやんか・・ こうなったら仕方ない。またこちらに下山しよう・・。 湖西線だったら、たとえ下山が遅くなっても走っているやろし・・。 山を乗り越えたかったんやけどな・・。 堅田8:40着。急行の時間待ち停車。おまけに、線路に人が入り込んでどうとか・・の事故で発車も遅れるという。 このまま比良駅まで乗っても、イン谷口まで1時間の歩き。登山口に着くのはいったいいつになるのか・・。 ああ・・武奈がどんどん遠くなっていく・・。 いや、こんなことで諦めてどうする!! そうだ!やっぱ、タクシーしかない!! 比良駅に客待ちのタクシーなどありそうにもないので、閉まりかけたドアをこじ開けて下車。 数分後には、まだ雪の残る琵琶湖バレイをタクシーの車窓から眺めていたのだった。 9:10 イン谷口着。怒涛のごとき1時間半だった・・・。
青ガレの雪は完全に融けていた。岩を掴みながらの登り。 気温が高くかなり雪が緩んでいるのでアイゼンなしで登る。 金糞峠手前になると、一層傾斜がきつくなる。 休みたいのは山々だけど、堂満岳北斜面からの落石も怖い。 それに、峠はすぐそこ。 前の男性が休憩されたので先行させていただく。 休憩されていた男性もすぐ追いついてきて、やっと金糞峠に登りついた。
直進し、奥ノ深谷に下る。 奥ノ深谷支流 11:00 奥ノ深谷。右折し、八雲ヶ原へ本流を遡る。 緩やかな雪道を辿りながら、左に谷の分岐を探す。 一つ目の谷の出合から左俣に入り、コヤマノ岳へ最短距離のルートを行くつもり。 300mほど先で谷が分かれていた。 何本かの木にもペンキやテープの目印がある。 11:10 八雲ヶ原への本流の道から外れ左の谷へ。 向こうを見るとわずかにトレースも残っているようだった。 本流を渡れるだろうか・・と流れの側に行くと、 ちゃんと小さな木橋が架かっていた。 ▲本流に掛かる橋。 谷を渡ってすぐスノーシューを付ける。 ここからコヤマノ岳まで昭文社の地図には載っていないルート。 トレースはあるものの、それほど踏み固められていそうにもない。 芦生杉というのだろうか、杉の巨木が目につく。 他の木も抱き込み巻き込んで生長していく・・。 2,300mだらだら谷を遡り、また小さな谷の分岐。 谷の出合。トレースを辿り右股に入り、すぐに右の尾根に取り付く。 尾根に乗ってからは忠実に尾根筋を辿る。 手入れされすっきり伸びる北山杉とは全く違う趣の杉。 ごつい幹はいくつにも分かれ、絡みながら天に向かってそそり立つ。 緩急をつけた尾根の登り。あちらにもこちらにも杉の大木。 ブナも姿を見せ始める。輻射熱で幹の周りの雪が融けている。 春は樹の根元から始まる。 芦生杉。ブナの大木も何本か。 傾斜が緩やかになり、稜線が近づいてくる。 12:20 中峠分岐 雪に埋もれかけた標識。右折。 木立の向こうに西南稜のたおやかな稜線が見えた。 あ〜、あそこを下りたかった・・。 5分ほどで展望が開け、コヤマノ岳に着いた。 12:25 コヤマノ岳 1181m ▲左:釈迦ヶ岳。 手前:旧比良スキー場。 中央付近:北比良峠。 木立の向こうに武奈ヶ岳が見えてくる。 ここから更に緩やかな斜面を一下りで八雲ヶ原からの道と合流。 12:30 八雲ヶ原分岐 ここまで登山口から3時間15分。後は最後の急登をこなすのみ。 が、山頂は・・ 見上げる高さにそそり立つ。 山頂へ最後の登り。広くばらけたトレース。ベタベタの雪。 登るほどに胸のすくような展望が広がる。 急斜面を息を切らせながら20分余りで西南稜分岐に登りついた。 朝の単独さんは?斜面を見下ろしても人影は見えなかった。 もう到着されて下山されたのかも・・。最短距離を通っても、結局同じぐらい時間がかかってしまったし・・。 山頂は右に100mほどだ。 まだまだ雪たっぷりの西南稜。 ▲中央:打見山・蓬莱山(琵琶湖バレイ) 手前:シャクシコバノ頭 右:西南稜 12:50 武奈ヶ岳山頂着 こちらから姿が見えなかったけれど、近づいてみると、二人休憩されていた。 霞んでいるものの素晴らしい展望が広がる。 安曇川を隔てて西には北山の重なり。 北には蛇谷ヶ峰から高島トレイルの山々が。 琵琶湖の向こうに白い山。金糞岳と伊吹山。その南に霊仙山。 ▲釈迦ヶ岳と旧比良スキー場・北比良峠方面 大学生くらいの娘さんと一緒の大阪から来られたという男性と少し言葉を交わす。 「いいですね〜。娘さんが一緒に登ってくれるなんて。」 朝の男性と合わせても、今日は3人に出会っただけ。こんな素晴らしいお天気に何と贅沢なことか・・。 7年前の3月末、比良のリフトとロープウェイが廃止される2日前に武奈ヶ岳に登った。 数十年ぶりの比良。最初で最後のリフトとロープウェイの利用。 老化した膝ではもう武奈ヶ岳を麓から歩くなんて到底不可能に思えた。 リフトが廃止される前に一目山頂からの景色をこの目に焼き付けておきたいと思った。 山頂駅からは平日にもかかわらず登山者が列をなしていた。 けれど、それから更に二度坊村からピストンしている。 そして、今日また琵琶湖側からこちらにやってこれた。 膝はやっぱり『老化』していることには違いはないけれど、そう不安を感じることもなくこうして歩ける自分がいる。 希望は捨てるものではない。つくづく思う。 あ〜それにしても、反対側に下りたかったんやけどな〜・・・。 え?ちょっと待って・・。 確か坊村15:45の江若バスがあるやん。(事前に調べてメモしてあった) 2時間半あるやんか!十分下山できる!! まさか、それまで廃止ってことはないはず・・。 いや、なかったらないで、ヒッチハイクでもなんでもできないことはない。 そそくさと残りのパンを口に押し込み、お二人に別れを告げて山頂を後にする。 西南稜の向こうに北山 峰床山、皆子山方面 雪たっぷりの西南稜を下る。 急斜面はシリセードで。 東に張り出した雪屁。 琵琶湖バレイを正面に見ながら・・ 西南稜を振り返りつつ・・。 今年の雪は、やっぱりかなりだったみたい。 ワサビ峠 御殿山までは10分弱のきつい登り返し。 御殿山から山頂を振り返る。ここで見納だ。 冬道の途中から登山道も半分現われる。 800メートル付近の自然林。 その下の急斜面の雪はほとんど消えていた。 15:10 明王院登山口着 バス停に行くと・・・・あった! 江若バスは今まで通り運行していましたヽ(^Д^*)/
京都駅までのタクシー代1600円。堅田からタクシー代4650円。 それに、電車代、バス代を加えると・・・ああ、計算したくない! ( ̄〜 ̄;) 痛い出費だったけれど、最高の一日だった。(いつも同じセリフ) こうして山を歩ける幸せな日常があることに感謝。 ■2009年1月28日 白銀の西南稜を辿る ■2007年4月20日 30年ぶりの西南稜 blogページ |
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